睡眠は、心身の健康を維持するために不可欠です。
質の高い睡眠をとることで、体も心も健康な状態を保つことができるのです。
睡眠がもたらす効果を紹介します。
睡眠がもたらす効果
- 脳と体に休息を与える
- 記憶を整理して定着させる
- ホルモンバランスを調節する
脳と体に休息を与える
人間の体では、常に自律神経が動いています。
自律神経の目的は、体温を維持し、心臓を動かしてホルモンや代謝を調節することです。
さらに自律神経には、交感神経と副交感神経があり、両者は交代で動いています。
日中は、交感神経が優位になるので、筋肉や心臓の動きが活発になり脳は緊張感と集中力を増します。
いっぽうで、食事中や睡眠の最初の深い眠りは、副交感神経が優位になります。
副交感神経が優位になると、体が休息モードに入り、体はリラックス状態になるので休息効果が期待できます。
ずっと交感神経が優位な状態になってしまうと、体も脳も活発な状態が続くので休息が取れません。
夜になるにつれて副交感神経が優位になるバランスを取らないと、寝つきの悪さや浅い眠りにつながってしまいます。
両者のバランスが崩れないようにするためには、睡眠の最初の90分で深い眠りのノンレム睡眠をしっかり確保する必要があるのです。
記憶を整理して定着させる
睡眠は、単なる休息だけでなく、日中学んだことを記憶として定着させる上で、重要な役割を果たしています。
実は、この睡眠には大きく分けて2つの状態があり、それがレム睡眠とノンレム睡眠です。
一晩の睡眠は、このレム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されるサイクルです。
レム睡眠 | 浅い眠り | 夢を見たり脳が活発に動く |
---|---|---|
ノンレム睡眠 | 深い眠り | 成長ホルモンが分泌される |
このサイクルをスムーズに繰り返すことで、質の高い睡眠をとることができます。
ノンレム睡眠
ノンレム睡眠は、脳も体も完全に休んでいる状態です。
眠りについた直後、最初に訪れるのは、この深いノンレム睡眠です。
特に、最初の90分間は、一晩の中でもっとも深い眠りと言えます。
この深い眠りの時間を確保することで、その後の睡眠リズムが整い、質の高い睡眠へとつながります。
レム睡眠
レム睡眠は脳は起きていて体が眠っている睡眠のことです。
睡眠は、深いノンレム睡眠から始まり、レム睡眠へと変わります。
このサイクルを繰り返し、明け方になるにつれてレム睡眠の時間が長くなるのです。
また、このレム睡眠中に夢を見たりします。
特に、レム睡眠と呼ばれる浅い眠りの段階では、夢を見たり、一日の出来事を整理したりすると言われています。
睡眠中は、ノンレム睡眠とレム睡眠が繰り返され、時間がたつにつれてレム睡眠が優位になります。
記憶が定着するのは、睡眠の最初の90分で深いノンレム睡眠に入る時です。
ノンレム睡眠で得た情報をレム睡眠で整理することで長期記憶として定着されるのです。
ホルモンバランスを調節する
「グロースホルモンという成長ホルモンを聞いたことはありますか?」
グリースホルモンとは子供の成長に大きくかかわってくるホルモンですが、大人になってからも重要な役割を持っています。
「成長ホルモンというと大人じゃなくて子どもの成長をうながすホルモン」と思われがちですが、実は大人にとっても健康の維持を支えるホルモンなのです。
そのようなグロースホルモンは最初のノンレム睡眠が訪れた時に最も多く分泌されます。
最初の深いノンレム睡眠の質が悪かったり、外部から阻害されてしまうと、正常に分泌されないのです。
眠りについて最初の90分は、睡眠全体の中で最も深い睡眠であり、睡眠の質を高めるグロースホルモンが一番多く分泌される重要な時間です。
情緒を安定させる
睡眠の質と情緒の安定は、密接な関係があります。
質の高い睡眠は、心の安定を保つ上でとても重要な役割を果たしているのです。
睡眠不足になると、イライラしたり、うつ症状や不安感を引き起こす原因になります。
いっぽうで、質の高い睡眠をとることができれば、ストレスの軽減や感情の安定などのいい影響が期待できます。
睡眠は日中の活動で疲れた体と心をリフレッシュさせて回復させるための重要な役割を担っているのです。
寝る90分前に入浴して睡眠の質を高めよう
睡眠の質を高めるためには、寝室の温度だけでなく、寝る前の過ごし方も意識しましょう。
「皆さんは寝る何時間前にお風呂に入っていますか?」
実は、寝る90分前の入浴が睡眠の質を高めるのです。
入浴と体温の関係
お風呂に入ることで、皮膚温度が上昇します。
この上昇した皮膚温度を下げるために、体が深部から熱を放出するメカニズムをホメオスタシス※と言います。
※ ホメオスタシス:体内の状態を一定に保とうとする働きのこと
ホメオスタシスの働きによって、お風呂に入ることで上がった分の体温を下げて元の状態に戻そうとします。
お風呂に入ってから、深部体温が下がるまでに掛かる時間は約90分なので、寝る90分前に湯船につかることができれば深部体温が下がりやすい状態で眠りにつくことができるのです。
そのうえで、寝室はエアコンのおやすみモードをうまく使って暑すぎず寒すぎない適度な室温をキープすることで、翌朝の目覚めもすっきりします。
自分に合うマットレスで寝よう
質の高い睡眠を実現するためには、自分に合うマットレスで寝ることが大切です。
自分に合ったマットレスを選ぶ際は、硬さを基準にすると選びやすいです。
マットレスの硬さを選ぶ基準のひとつとして、体重に応じた選び方があります。
体重 | 柔らかいマットレス | 中程度のマットレス | 硬めのマットレス |
---|---|---|---|
50㎏以下 | ◎ | △ | × |
50㎏~75㎏ | △ | ◎ | △ |
75㎏以上 | × | △ | ◎ |
柔らかいマットレス
柔らかいマットレスは体の形にフィットしやすく、肩や腰をしっかり包み込むことができます。
とくに横向きで寝る人に適しており、体のカーブにそって自然で快適な姿勢で眠ることができます。
中程度の硬さのマットレス
中程度の硬さのマットレスは圧力を均等に分散し、体の過度な沈み込みを防ぎます。
これにより、筋肉や関節への負担が軽減され、健康な体を維持できます。
寝姿勢にこだわりがない人や、寝姿勢が一定しない人におすすめです。
硬めのマットレス
硬めのマットレスは通気性が良く、湿度がたまりにくいため、清潔感のある睡眠環境を保ちやすいです。
また、高反発なので変形しにくく長持ちします。
清潔に長く使いたい人におすすめです。
まとめ
睡眠は、私たちの心身の健康を維持するために不可欠です。
質の高い睡眠をとることで、体も心も健康な状態を保つことができるのです。
睡眠がもたらす効果
- 脳と体に「休息」を与える
- 「記憶」を整理して定着させる
- 「ホルモンバランス」を調節する
質の高い睡眠を取るためには、寝る90分前の入浴と自分に合ったマットレスで寝ることが大切です。