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知らない間に睡眠の借金をしている

「今日はちょっと寝不足だな」

「最近あんまり寝れてなくて睡眠不足になっている」

という会話は、日常的によく耳にすると思います。

 

多くの人は、

「少し寝不足になったぐらいで大丈夫だろう」

「週末にたっぷり寝れば回復する」

と考えているかもしれません。

 

しかし、実は睡眠不足は睡眠負債と呼ばれ、借金のように、寝不足になった分だけ睡眠を返していく必要があるのです。

 

睡眠の借金が積み重なると、首が回らなくなったり、脳や体が思うように動かなくなるなど、様々な不調が現れる可能性があります。

 

さらに、睡眠負債とは知らない間にたまっていきます。

 

日々の寝不足が貯まり続けると、知らないうちに睡眠の借金が増え続けてしまうのです。

脳の居眠りは飲酒運転より危険

飲酒運転や薬物を摂取しての運転が危険なことはよく知られています。

しかし、睡眠負債を抱えた状態での運転も、これらと同様に深刻な危険性があるのです

 

それにも関わらず、睡眠負債を抱えての運転には、法の規制もなく、睡眠負債についても明確な基準がありません。

飲酒運転と睡眠負債を抱えての運転の共通点

睡眠負債による運転は、飲酒運転や薬物を摂取しての運転と以下のような共通点があります。

脳の機能低下 脳の機能を低下させ、判断力や反応速度を鈍らせる
事故リスクの増加 交通事故のリスクを増加させる
周囲の人も巻き込む危険性 自分だけでなく、他のドライバーや歩行者など、周囲の人々も巻き込む可能性がある

 

睡眠負債を抱えての運転は飲酒運転などと同様に交通事故の危険性を高めてしまいます

それにも関わらず、法の規制がされないのはなぜでしょうか。

 

睡眠負債を抱えての運転に法の規制がされない原因としては大きく2つあります。

法の規制がされない原因

  • 睡眠負債の客観的な測定が難しい
  • 個人差が大きい

睡眠負債の客観的な測定が難しい

飲酒量や薬物濃度のように、睡眠負債の程度を客観的に測定できる明確な基準がありません。

単に睡眠時間を計るだけでは不十分なのです。

睡眠の質は睡眠時間ではなく、睡眠の深さやレム睡眠の割合などが大きな影響を与えるからです。

個人差が大きい

必要な睡眠時間は個人差が大きく、一律の基準を設定することが難しいです。

睡眠に必要な時間は、年齢や生活習慣、健康状態などで個人によって大きく異なります。

 

睡眠負債を抱えての運転は、飲酒運転と同じくらい交通事故のリスクを高めてしまいます。

 

 しかし、睡眠負債は客観的な測定が難しく、また個人差も大きいため、飲酒運転のように明確な法規制がされていません。

 

睡眠負債を抱えての運転で交通事故を起こさないためには、どうすればいいのでしょうか。

 

質の高い睡眠をとることが大切です。

質の高い睡眠とは

「そもそも質の高い睡眠って・・・?」

質の高い睡眠とは、寝つきが良く、途中で起きることなく朝すっきり目覚められる状態のことです。

 

質の高い睡眠の例

  • 寝つきがいい
  • 途中で起きない
  • 体が痛くない

寝つきがいい

寝つきがいい眠りとは、ベットに横になってすぐに眠りにつける状態のことです。

深いノンレム睡眠に入るまでの時間を短縮できるため、より多くの時間を深い睡眠に充てることができるのです。

ノンレム睡眠とは

ノンレム睡眠は、脳も体も完全に休んでいる状態です。

眠りについた直後、最初に訪れるのは、この深いノンレム睡眠です。

特に、最初の90分間は、一晩の中でもっとも深い眠りと言えます。

この深い眠りの時間を確保することで、その後の睡眠リズムが整い、質の高い睡眠へとつながります。

途中で目覚めない

途中で目覚めることなく、朝まで眠り続けることができる状態は、質の高い睡眠だといえます。

睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠が繰り返されるサイクルです。

 

深い眠りであるノンレム睡眠では、日中の疲れた体の修復やエネルギーの回復を行います。

また、グロースホルモンという成長ホルモンが分泌されるので休息効果が高い時間帯です。

 

いっぽうで、眠りが浅いレム睡眠では、脳が活発に動くため、日中の記憶の整理や定着を行います。

 

途中で目が覚めてしまうと、深い眠りと浅い眠りが切り替わってしまい、十分な休息を得られない可能性が高まってしまうのです。

途中で何度も目が覚めることなく、睡眠サイクルをスムーズに繰り返せる状態だと質の高い睡眠を確保できています。

体が痛くない

朝目覚めた時に、肩や腰が痛いなどの体の不調がないということは質の高い睡眠がとれているといえます。

 

質の高い睡眠には、自分に合ったマットレスで寝ることがとても重要です。

 

たとえば、寝姿勢が横向きの人が硬いマットレスを使うと、肩や腰などへ集中しやすい圧力を分散することができません。

そのような状態だと、体への負担を軽減できずむしろ増加させてしまい、体への痛みの原因になってしまうのです。

 

自分に合うマットレスを選ぶことで、体への負担を軽減し質の高い睡眠環境を整えることができます。

睡眠負債を抱えないために今すぐできること

「今すぐ質の高い睡眠を確保したい」という方には、寝る90分前の入浴がおすすめです。

 

実は、寝る90分前の入浴が睡眠の質を高めるのです

入浴と体温の関係

お風呂に入ることで、皮膚温度が上昇します。

この上昇した皮膚温度を下げるために、体が深部から熱を放出するメカニズムをホメオスタシスと言います。

 

ホメオスタシスの働きによって、お風呂に入ることで上がった分の体温を下げて元の状態に戻そうとします。

 

お風呂に入ってから、深部体温が下がるまでに掛かる時間は約90分です。

 

つまり、寝る90分前に湯舟につかることができれば、深部体温が下がりやすい状態で深い眠りにつくことができます。

自分に合うマットレスで睡眠の質を高める

質の高い睡眠を実現するために、自分に合うマットレスで寝ることも大切です。

 

自分に合ったマットレスを選ぶ際は、硬さを基準にすると選びやすいです。

 

マットレスの硬さを選ぶ基準のひとつとして、体重に応じた選び方があります。

体重 柔らかいマットレス 中程度のマットレス 硬めのマットレス
50㎏以下 ×
50㎏~75㎏
75㎏以上 ×

柔らかいマットレス

柔らかいマットレスは体の形にフィットしやすく、肩や腰をしっかり包み込むことができます

とくに横向きで寝る人に適しており、体のカーブにそって自然で快適な姿勢で眠ることができます。

中程度の硬さのマットレス

中程度の硬さのマットレスは圧力を均等に分散し、体の過度な沈み込みを防ぎます

これにより、筋肉や関節への負担が軽減され、健康な体を維持できます。

寝姿勢にこだわりがない人や、寝姿勢が一定しない人におすすめです。

硬めのマットレス

硬めのマットレスは通気性が良く、湿度がたまりにくいため、清潔感のある睡眠環境を保ちやすいです。

また、高反発なので変形しにくく長持ちします。

清潔に長く使いたい人におすすめです。

まとめ

私たちは、知らない間に睡眠の借金をしています。

睡眠負債とは、日々の睡眠不足が積み重なり、まるで借金のように体に悪影響を及ぼしてしまいます。

特に、運転中の睡眠不足は、飲酒運転と同様に交通事故のリスクを高めてしまう危険性があるのです。

睡眠負債を抱えないためにできることは大きく2つあります。

 

  • 寝る90分前に入浴する
  • 自分に合いマットレスで寝る

 

「ちょっとくらい寝不足でも大丈夫だろう」と、つい甘えてしまいがちな睡眠不足ですが、放置すると深刻な問題に発展してしまいます。

睡眠負債は、一度貯まってしまうと、簡単には解消できない厄介なものなのです。

 

今一度、ご自身の睡眠習慣を見直してみませんか?